[Web Tool] Pandoc Converter — Markdown や Word を、ブラウザの中だけで変換する。日本語の Word 仕上げ付き

[Web Tool] Pandoc Converter — Markdown や Word を、ブラウザの中だけで変換する。日本語の Word 仕上げ付き

概要

Pandoc Converter は、文書を、ほかの形式に変換する、ブラウザ用のツールです。Markdown を Word に、Word を Markdown に、HTML を EPUB に、というように、入力 50 種類ほど、出力 70 種類ほどの形式を、組み合わせて変換できます。

変換には、文書変換ソフトの Pandoc(3.9)を使っています。Pandoc を WebAssembly にしたものを、ブラウザの中で動かしているので、インストールは要りません。文書は、お使いのパソコンの外へ出ません。

いちばんの特徴は、日本語の Word 文書に仕上げるところです。Pandoc がそのまま作る Word は、用紙がレターサイズで、日本語のフォントが合わず、ページ番号もありません。このツールは、変換のあとで、A4、游明朝、ページ番号、行間、見出しの色、表の罫線を整えてから、ファイルにします。

HTML に変換するときは、6 種類のテーマから選べます。PDF は、HTML を印刷して作ります(ブラウザの印刷で、「PDF に保存」を選びます)。

入力は、文章を貼り付けるか、ファイル、フォルダ、zip をドロップします。画像つきの Markdown も、フォルダごと入れれば、画像を読み込んで変換します。文字コードは、UTF-8、Shift_JIS、EUC-JP を、自動で判別します。

開く

インストールは不要です。下のリンクから、そのまま開けます。

スタートメニューから起動

トップページのスタートメニューからも起動できます。

Pandoc Converter トップページのスタートメニューから起動

スクリーンショット

全体

左に、入力と形式と「変換」ボタン、真ん中に、入力・プレビュー・出力・構造・AST・ログ、右に、オプションが並びます。

Pandoc Converter の全体。左に入力と形式、真ん中にプレビュー、右にオプション

日本語の Word に変換する

「日本語の Word 文書」のプリセットで変換した、Word 文書です。A4、游明朝で、フッターにページ番号が入ります。

変換した Word 文書を、Word で開いたところ。A4、游明朝、ページ番号つき

HTML のテーマ

HTML のテーマを切り替えたプレビュー

構造の確認

Word、EPUB、PowerPoint などの出力は、zip の中身(XML)を、そのまま確認できます。

構造タブ。docx の zip の中身と、XML の表示

AST とログ

AST タブ。文書の構造を、Pandoc の内部表現で表示

アプリの特徴

  • インストール不要・外部送信なし: Pandoc を WebAssembly でブラウザの中で動かします。文書は、パソコンの外へ出ません
  • 形式が豊富: 入力 51 種類、出力 75 種類。Markdown(GFM、CommonMark など)、Word、ODT、HTML、EPUB、PowerPoint、LaTeX、Typst、reStructuredText、Org、AsciiDoc、JSON など
  • 日本語の Word 仕上げ: A4、游明朝、ページ番号、行間、見出しの色、表の罫線を整えます
  • HTML のテーマ 6 種類: Pandoc 標準、スタイルなし、GitHub 風、日本語・読みやすい、論文・印刷向け(明朝)、ダーク
  • PDF にできる: HTML を印刷して、PDF に保存します(印刷用のスタイルつき)
  • フォルダ・zip の入力: 複数のファイルや画像を、まとめて入れられます。役割(本文、画像、参考文献など)は、拡張子から自動で推測します
  • 文字コードの自動判別: UTF-8、Shift_JIS、EUC-JP
  • プレビュー: HTML は、そのまま表示します。Word、ODT、EPUB、PowerPoint は、出力したファイルを読み直して、表示します
  • 構造・AST・ログ: zip の中身、文書の内部表現(native / JSON)、文字数などの統計、Pandoc のメッセージを確認できます
  • 参考文献: BibTeX / CSL JSON などの文献ファイルと、引用スタイル(CSL)に対応します
  • Lua フィルター: 7 種類の組み込みに加えて、自分で書いたコードも使えます
  • CLI の表示: いまの設定と同じ変換をする、pandoc のコマンドと、defaults ファイル(YAML)を表示します
  • プリセット: 組み込みが 11 種類。自分の設定も、ブラウザに保存できます
  • 変換の自動実行: 設定を変えると、少し待ってから、自動で変換し直します(切り替え可)

まず試す

  1. ページを開きます。初回は、変換エンジン(約 16MB)を読み込むので、少し待ちます。2 回目からは、ブラウザに保存された分を使います。
  2. 左の「INPUT」に、文章を貼り付けるか、ファイルをドロップします。何もなければ、サンプルの文書が入っています。
  3. 「FROM」は、自動で判別されます。必要なら、変えます。
  4. 「TO」で、出力したい形式を選びます。たとえば「Word(docx)」。
  5. 「変換」を押します。真ん中の「プレビュー」に、結果が出ます。
  6. 「ダウンロード」で、ファイルを保存します。

日本語の Word にしたいときは、右の「プリセット」で、「日本語の Word 文書(A4・游明朝)」を選んでから、変換します。

使い方

1. 入力する

方法内容
貼り付け「入力」タブの欄に、文章を貼る
ファイルドロップ、または選択
フォルダフォルダごとドロップ。中のファイルと画像を、まとめて読む
zipzip をドロップすると、中身を展開して読む
  • 複数のファイルを入れたときは、「FILES」の一覧に出ます。本文にするファイル、画像、参考文献、CSL などの役割は、拡張子から推測します。違うときは、一覧で変えられます
  • Word、ODT、EPUB、PDF 以外のバイナリは、そのまま入力にできます(docx、odt、epub など)
  • Markdown から画像を読んでいるのに、画像が入力に無いときは、警告が出ます

2. 形式を選ぶ

  • FROM(入力形式): 拡張子から、自動で決まります。変えたいときは、一覧から選びます。「日本語向け」を押すと、日本語の改行を詰める拡張(east_asian_line_breaks)が付きます
  • TO(出力形式): 「文書」「Web・スライド」「組版」「マークアップ」「データ・XML」に分けて並んでいます
  • 拡張機能(+smart など)は、右のパネルで、ON / OFF できます。形式ごとに、使えるものだけが出ます

3. 日本語の Word に仕上げる

出力が Word(docx)のときは、変換したあとで、ファイルの中身を書き換えて、日本語向けに整えます。

項目内容
用紙A4(Pandoc 標準はレター)
フォント本文は游明朝、見出しは游ゴシック(変更可)
文字の大きさ・行間変更可
ページ番号フッターに「ページ / 総ページ」
言語日本語(Pandoc 標準は中国語になっています)
段落の字下げON / OFF
見出しの色黒、または色を指定
表の罫線罫線を付ける
  • 「日本語の Word 文書」のプリセットは、これらの初期値を、まとめて設定します
  • 仕上げをしない(Pandoc の出力のまま)にもできます
  • 自分の Word のテンプレート(reference.docx)を使いたいときは、「FILES」に入れて、役割を「参照」にします

4. HTML のテーマ

HTML に変換するときは、右の「HTML」で、テーマを選びます。

テーマ内容
Pandoc 標準Pandoc が付ける標準のスタイル
スタイルなしスタイルを付けない。自分の CSS を載せたいとき
GitHub 風GitHub の README に近い見た目
日本語・読みやすい行間と文字の大きさを、日本語向けに
論文・印刷向け(明朝)明朝体、白黒。印刷に向く
ダーク暗い背景
  • 「画像・CSS を HTML に埋め込む」を ON にすると、画像や CSS を、1 つのファイルにまとめます
  • 目次、番号付き見出し、コードの色(8 種類)も選べます
  • 追加の CSS を書くと、テーマの上に重ねられます

5. PDF にする

PDF への変換は、Pandoc の中ではできません(LaTeX などが要るため)。代わりに、次の手順で作ります。

  1. 形式を「HTML」にします。テーマは、「論文・印刷向け(明朝)」がおすすめです。
  2. 「プレビュー」を表示して、「印刷 / PDFに保存」を押します。
  3. ブラウザの印刷画面で、「送信先」を「PDF に保存」にします。
  • 印刷用のスタイル(用紙の余白、改ページ)が、自動で付きます
  • 余白や用紙は、印刷画面の設定が優先されます

6. 参考文献

  1. 文献ファイル(.bib、.json、.yaml など)を、「FILES」に入れます。
  2. 右の「参考文献」で、「引用を処理する」を ON にします。
  3. 引用スタイルは、組み込みの一覧、または自分の CSL ファイルから選びます。

本文では、[@knuth1984] のように書きます。

  • サンプルの文献が、プリセットの「サンプル」に入っています
  • 標準の引用スタイルは、英語の書式です。日本語の文書では、「Knuth 1984 年」のように、変な表記になることがあります。日本語に合う CSL を使ってください

7. Lua フィルター

文書を変換の途中で書き換える、Pandoc の仕組みです。「Lua フィルター」で、次の 7 種類から選べます。

名前内容
最初の見出し(#)を文書タイトルにする先頭の見出しを、タイトルに移す
引用符を「」『』にする引用符を、かぎ括弧にする
見出しを 1 段下げるh1 → h2 など
リンクを文字だけにするURL を消して、文字だけ残す
画像を取り除く画像を消す
脚注を取り除く脚注を消す
コードブロックに行番号をつける行番号の属性を付ける
  • 「コード」の欄に、自分で Lua を書けます。.lua ファイルのドロップでも使えます。ネットワークや OS に触れる機能は使えません
  • Lua のエラーは、「ログ」に出ます

8. 構造・AST・ログ

タブ内容
入力入力のテキスト。文字コードの判別結果も出る
プレビュー変換結果の見た目
出力出力のテキスト(バイナリは、サイズだけ)
構造docx / odt / epub / pptx の zip の中身。XML を整形して表示
AST文書の内部表現(native / JSON)。文字数・見出し数などの統計
ログPandoc のメッセージ、警告、変換にかかった時間
  • 「分割」を押すと、入力と、もう一つのタブを、並べて見られます
  • Word の見た目がおかしいときは、「構造」で XML を見ると、原因が分かりやすいです

9. 設定の保存と、コマンドの表示

  • 右の「プリセット」で、いまの設定に名前を付けて、ブラウザに保存できます。「設定の書き出し・読み込み」で、JSON にして持ち出せます
  • 「CLI」には、同じ変換をする pandoc のコマンドと、defaults ファイル(YAML)が出ます。自分のパソコンの Pandoc で、同じ結果を作りたいときに使います
  • 保存先は、お使いのブラウザの中です。ブラウザのデータを消すと、無くなります

注意事項

  • 初回の読み込みは、約 16MB です。回線が遅いと、時間がかかります。2 回目からは、ブラウザに保存された分を使います。
  • PDF への直接の変換には、対応していません。上の「PDF にする」の手順を使ってください。
  • スライド(reveal.js など)の HTML は、スライドの動きに必要な部分を、インターネットから読みます。オフラインでは、動きません。
  • 非常に大きな文書(数十 MB 以上)や、画像が大量のフォルダは、時間がかかったり、メモリが足りなくなったりすることがあります。止まったときは、ページを開き直してください。
  • Word の「互換モード」の表示は、Pandoc の Word 文書の仕様です。消していません。
  • 動作は、Chrome 系のブラウザで確認しています。Safari、Firefox では、確認していません。
  • スマートフォンの画面幅は、想定していません。パソコンで使ってください。
  • 変換の結果は、元の文書と、完全には同じになりません。レイアウトが大事な文書は、結果を確認してから使ってください。

よくある質問 (FAQ)

Q. 文書は、どこかに送信されますか。
A. 送信しません。変換は、ブラウザの中だけで行います。保存するのは、設定(プリセット)だけで、これも、お使いのブラウザの中です。読み込みのとき、エンジンのファイルは、サイトからダウンロードします。

Q. 最初に、少し待たされます。
A. 変換エンジン(約 16MB)を、読み込んでいます。2 回目からは、ブラウザに保存された分を使うので、速くなります。

Q. Word に変換したら、フォントが違います。
A. 「日本語の Word 文書」のプリセットを使ってください。游明朝と游ゴシックが、入っていないパソコンでは、別のフォントで表示されます。右のパネルで、フォントを変えられます。

Q. Word に変換したら、用紙がレターサイズでした。
A. Pandoc の標準です。日本語の Word の仕上げを ON にすると、A4 になります。

Q. 日本語の文章に、変なスペースが入ります。
A. Markdown の改行が、スペースに変わっているためです。「日本語向け」を押す(east_asian_line_breaks を ON にする)と、日本語の改行を詰めます。

Q. 画像が出ません。
A. Markdown の画像は、ファイルを、いっしょに入れる必要があります。フォルダごとドロップするか、zip で入れてください。画像が足りないときは、警告が出ます。

Q. PDF にしたいです。
A. HTML に変換して、「印刷 / PDFに保存」を押して、ブラウザの印刷画面で「PDF に保存」を選んでください。手順は、上の「PDF にする」にあります。

Q. 文字化けします。
A. 文字コードは、UTF-8、Shift_JIS、EUC-JP を、自動で判別します。それ以外のときは、「入力」タブで、判別結果を確認してください。

Q. 変換が、途中で止まりました。
A. 文書が大きいと、メモリが足りなくなることがあります。ページを開き直して、文書を分けて変換してください。

Q. 保存した設定を、別のパソコンで使いたいです。
A. 「設定の書き出し」で JSON にして、別のパソコンで、読み込んでください。

Q. オフラインでも使えますか。
A. 一度、読み込んだあとは、エンジンがブラウザに保存されているので、使えることが多いです。ただし、ページ自体を開くには、通信が要ります。確実な動作は、保証していません。

技術記事

実装の詳細は、技術記事にまとめています。

更新履歴

バージョン日付内容
v1.02026/10/13初回公開(入力 51 種類・出力 75 種類、日本語の Word 仕上げ、HTML テーマ 6 種類、フォルダ・zip の入力、参考文献、Lua フィルター、構造・AST・ログ、プリセット)

クレジット

ライブラリ

Pandoc は GPL のソフトウェアです。このツールは、Pandoc の WebAssembly 版を、そのまま読み込んで使っています。Pandoc のソースコードは、公式のリポジトリで公開されています。