[WEB App] Tracker Player v1.1 — MOD/XM/S3M/ITをブラウザで再生するトラッカー音楽プレイヤーの使い方ガイド
概要
Tracker Player は、Amiga や DOS の時代に作られたトラッカー音楽(MOD / XM / S3M / IT など)をブラウザだけで再生するプレイヤーです。インストールは不要で、読み込んだ曲がサーバーへ送られることもありません。
再生中は、曲の「楽譜」にあたるパターンデータが画面いっぱいに流れていきます。チャンネルごとの音量メーターを見ながら、チャンネルを1本ずつミュートしたりソロにしたりして、曲がどう組み上がっているのかを聴き分けられます。
スクリーンショット
動画
Tracker Player を起動する
以下、リンクを開くと起動します。
[WEB App] Tracker Player v1.0 — トラッカー音楽プレイヤー
MOD / XM / S3M / IT をブラウザで再生。パターンのリアルタイム表示、チャンネルのミュート・ソロに対応。
lain-lab.comスタートメニューから起動
トップページのスタートメニューからも起動できます。
曲を再生する
- 左上のドロップエリアに曲のファイルをドラッグ&ドロップします(クリックしてファイルを選ぶこともできます)。中央のパターン表示の上にドロップしても読み込めます。
- 読み込むと、すぐに再生が始まります。
複数のファイルをまとめて読み込むと、プレイリストに並びます。曲が終わると、次の曲が自動で再生されます。
曲が手元にない場合は、「▶ Load demo.mod」で動作確認用のデモ曲を再生できます。
曲の入手先
The Mod Archive
数十万曲のトラッカーモジュールを公開しているアーカイブ。1曲ずつダウンロードできます。
modarchive.org曲のページの「Download」からファイルを保存し、そのままドロップしてください。
画面構成
| 場所 | 内容 |
|---|---|
| 左パネル | ファイルのドロップエリア、プレイリスト、再生ボタン、シークバー、曲の情報 |
| 中央上部 | オーダーリスト(パターンを演奏する順番)。今の位置がピンクで光ります |
| 中央 | パターン表示。上端にチャンネル名と音量メーター |
| 中央下部 | ステータスバー(オーダー・パターン・行・スピード・テンポ・BPM・発音数)と全画面ボタン |
| 右パネル | レンダリング設定、サンプル / 楽器の名前、曲メッセージ |
左右のパネルの境目にあるバーをドラッグすると、右パネルの幅を変えられます。
再生の操作
| ボタン / 操作 | 動作 |
|---|---|
| ▶ / ❚❚ | 再生 / 一時停止 |
| ■ | 停止(曲の先頭に戻ります) |
| ◀◀ / ▶▶ | プレイリストの前の曲 / 次の曲 |
| ⟳ | ループ。オンにすると同じ曲を繰り返し、次の曲へは進みません |
| シークバー | ドラッグで再生位置を移動 |
| オーダーリストの番号 | クリックすると、そのパターンの先頭へジャンプ |
パターン表示の読み方
トラッカーの曲は、縦に流れる表の形をした楽譜でできています。表の1ブロックを パターン、パターンを演奏する順番を オーダーリスト と呼びます。同じパターンを何度も使い回して1曲を組み立てるのが基本です。
- 左端の数字は 行番号(16進数)です。ピンクの帯が今鳴っている行です。
- 縦の列が チャンネル です。1チャンネルで同時に鳴らせる音は1つです。
- パターンの境目にはピンクの横線が入り、行番号の横に「P02」のようにパターン番号が出ます。次のパターンの行は少し暗く表示されます。
- 拍の頭の行は背景が少し明るく、小節の頭の行はさらに明るく表示されます。
1つのセルは、例えば E-6 0E v10 8C0 のように並んでいて、色で種類を区別しています。
| 色 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| 白 | C-5 F#6 | 音程(音名とオクターブ) |
| 赤 | === ^^^ | ノートオフ / ノートカット(音を止める) |
| 青 | 01 0E | 楽器(サンプル)番号 |
| 緑 | v40 | 音量 |
| オレンジ | C20 8C0 R04 | エフェクト(音量設定、パン、ビブラートなど) |
... は、その行・そのチャンネルに何も書かれていないことを表します。エフェクトの書き方は曲の形式(MOD / XM / S3M / IT)ごとに違いますが、画面には各形式のトラッカーと同じ表記で出ます。
ミュートとソロ
| 操作 | 動作 |
|---|---|
| チャンネル名をクリック | そのチャンネルをミュート(もう一度で解除) |
| チャンネル名を右クリック | そのチャンネルだけを鳴らすソロ(もう一度で解除) |
1 〜 9, 0 キー | ch1〜ch10 をミュート |
Shift + 1 〜 0 | ch1〜ch10 をソロ |
ミュート中のチャンネルは、名前の右に赤い「M」が付き、音量メーターが止まって、譜面が暗くなります。ミュートの状態は、次の曲を読み込むとリセットされます。
WAV に書き出す
左パネルの「EXPORT (WAV)」から、曲を WAV ファイルに書き出せます。書き出しは実時間より速く進み、進み具合がパーセントで表示されます。
| ボタン | 動作 |
|---|---|
| Current | 再生中の曲を WAV に書き出す(レンダリング設定とミュート / ソロを反映) |
| All | プレイリストの全曲を WAV に書き出す |
| Stems | 再生中の曲を、チャンネルごとの WAV に書き出す |
| Cancel | 書き出しを途中で止める |
- 形式は 44.1kHz / 16bit ステレオです。
- 書き出し時はループしません。曲の最後で止まり、末尾の無音は自動で切り詰めます(Stems は長さを揃えるため切り詰めません)。
- 複数のファイルを書き出すと、ブラウザが「複数ファイルのダウンロード」の許可を求めることがあります。
- ミュートしたチャンネルは、Current の書き出しでも鳴りません。好きなパートだけを残した WAV も作れます。
MP3 などが必要なときは、書き出した WAV を Audio Converter に読み込めば、まとめて変換できます。
レンダリング設定(右パネル)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Volume | 全体の音量(0〜150%) |
| Stereo | 左右の広がり。0% でモノラル、100% が標準、200% で強調 |
| Interp. | サンプルを引き伸ばすときの補間方式。Default(推奨)/ None(ざらついた昔風の音)/ Linear / Cubic / Sinc |
| Amiga | Amiga の音声回路とフィルターの再現。A500 / A1200 / Unfiltered / Off。MOD など Amiga 系の曲で効きます |
| Tempo | 再生速度の倍率(0.5〜2.0)。音程は変わりません |
| Pitch | 音程の倍率(0.5〜2.0)。速さは変わりません |
「Amiga: A500」は、初代 Amiga 500 のこもった柔らかい音に近くなります。MOD の曲で A500 と A1200 を聴き比べてみてください。
キーボード操作
| キー | 動作 |
|---|---|
| Space | 再生 / 一時停止 |
| F | パターン表示を全画面に(Esc で戻る) |
| 1 〜 9, 0 | ch1〜ch10 のミュート |
| Shift + 1 〜 0 | ch1〜ch10 のソロ |
| Shift + ホイール / Shift + ← → | チャンネルの横スクロール(画面に収まらない曲のみ) |
対応フォーマット
libopenmpt が読める形式すべてに対応しています。主なものは次のとおりです。
| 拡張子 | 元のソフト |
|---|---|
| .mod | ProTracker / NoiseTracker など(Amiga) |
| .xm | FastTracker 2(DOS) |
| .s3m | Scream Tracker 3(DOS) |
| .it | Impulse Tracker(DOS) |
| .mptm | OpenMPT |
このほか .669 / .med / .mtm / .okt / .stm / .ult / .umx など、多くの形式を再生できます。
注意事項
- プレイリストは保存されません。ページを再読み込みすると空になります。
- 最初の再生時に、音源ライブラリ(約1.5MB)を読み込みます。
- パターンを途中で打ち切るエフェクト(
Dxx/Bxx)が入った曲では、パターンの境目で表示が一瞬飛ぶことがあります。再生には影響しません。 - チャンネル数が多く、文字を最小(11px)にしても画面に収まらない曲では、チャンネルを横スクロールして表示します。
- スマートフォンでの表示には、まだ最適化していません。PC のブラウザでの利用をおすすめします。
よくある質問 (FAQ)
Q. 読み込んだ曲はサーバーに送られますか?
A. いいえ。すべての処理はブラウザの中で完結していて、外部に送信されるデータはありません。
Q. 「このファイルは libopenmpt で開けませんでした」と出ます
A. トラッカー以外のファイル、または壊れたファイルの可能性があります。ZIP で圧縮された曲は、展開してからドロップしてください。
Q. 右パネルの「SAMPLES / INSTRUMENTS」に文章が並んでいます
A. トラッカーの作者は、楽器の名前欄にメッセージや挨拶を書き込むことがよくあります。表示が崩れているわけではありません。
技術解説
実装の詳細(libopenmpt WASM と AudioWorklet、パターンの整形表示、関数テーブルを使ったチャンネルミュート、Astro の scoped CSS の注意点など)は、技術記事にまとめています。
[Astro] #154 Tracker Player — libopenmpt WASMでMOD/XM/S3M/ITをブラウザ再生、パターンをリアルタイム表示 // PROTOCOL.LAIN
libopenmpt(WASM)+AudioWorkletによるトラッカー音楽プレイヤーの実装記録。パターンの整形表示(format/highlight API)、前後パターンを連結した連続スクロール、Emscriptenが公開していない関数テーブルを拾ってext interactiveインターフェースでチャンネルミュートを実現する方法、Astroのscoped CSSがinnerHTML要素に当たらない問題まで。'
lain-lab.com更新情報
v1.1(2026-09-27)
- WAV書き出しを追加:左パネルの「EXPORT (WAV)」から、曲を 44.1kHz / 16bit ステレオの WAV に書き出せるようになりました。
- Current:再生中の曲を書き出します。Volume・Stereo・補間・Amiga フィルター・Tempo・Pitch の設定と、ミュート / ソロの状態がそのまま反映されます。
- All:プレイリストの全曲を、1曲ずつ WAV に書き出します。
- Stems:再生中の曲を、チャンネルごとの WAV(
曲名_ch01.wavなど)に書き出します。全チャンネルが同じ長さなので、DAW に並べてもずれません。
- CONVERT 欄を追加:書き出した WAV は、Audio Converter で MP3 / OGG / FLAC / AAC / Opus にまとめて変換できます。
v1.0(2026-09-27)
- 初版公開